「副業に興味はあるけど、公務員だから無理かな…」と、最初からあきらめていませんか?
実は、公務員の副業は「全面禁止」でも「全面解禁」でもありません。
正しい知識と手続きを踏めば、許可を得て副業ができる場合があるんです。
しかも2026年4月からは、国家公務員の副業ルールが緩和され、これまでよりも幅広い活動が認められるようになりました。
本記事では、副業を考えている公務員の方に向けて、制度の基本から最新の情報、実際に許可されやすい副業の種類、申請の流れまでをわかりやすく解説します。
本記事でわかること
- 公務員の副業が「禁止」とされている本当の理由
- 2026年に何がどう変わったのか
- 実際に許可が出やすい副業・出にくい副業
- 申請の流れと、副業を始める前に確認すべきこと
- よくある疑問(時間・金額・バレるリスクなど)
Contents
結論!「公務員の副業=全部NG」ではない

結論からいうと「公務員の副業=全部NG」ではなく、公務員の副業は「任命権者の許可制」です。
ただし、何でも好きにやっていいわけではありません。
副業の内容・時間・報酬・職務との関係性などを総合的に判断したうえで、所属する機関が許可するかどうかを決めます。
うさぎ
公務員の副業を制限する法律がある


公務員の副業が制限されているのは、法律があるからです。


それぞれの法律について、解説します。
国家公務員法(第103条・第104条)
国家公務員法では、営利を目的とする会社の役員に就いたり、自ら営利企業を経営したりすることは原則として禁止されています(第103条)。
また、報酬をもらって他の事業に関わる場合は、内閣総理大臣と所轄庁の長の許可が必要です(第104条)。
国家公務員法 第103条(抜粋) 職員は、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ね、又は自ら営利企業を営んではならない。
地方公務員法(第38条)
地方公務員も同様に、任命権者(知事や市区町村長など)の許可なしに、営利企業に勤めたり報酬をもらって仕事をしたりすることは禁止されています。
地方公務員法 第38条(抜粋) 職員は、任命権者の許可を受けなければ、商業、工業又は金融業その他営利を目的とする私企業を営むことを目的とする会社その他の団体の役員その他人事委員会規則で定める地位を兼ね、若しくは自ら営利企業を営み、又は報酬を得ていかなる事業若しくは事務にも従事してはならない。


なぜ公務員の副業はこんなに厳しく制限されるの?


法律の条文だけ読んでも「なぜここまで厳しいの?」と思う方もいるかもしれません。
実は、制限には4つの理由があります。
理由①:職務に全力を尽くす義務があるから
公務員には、勤務時間中はすべての注意力と時間を職務に向ける義務があります。
(国家公務員法第101条、地方公務員法第30条)
副業によって睡眠が削られたり、仕事中に副業のことが頭をよぎったりすれば、本業のパフォーマンスが落ちる可能性があります。


理由②:情報を外に漏らしてはいけないから
公務員は仕事を通じて、さまざまな機密情報に触れます。
副業先でその情報を使ったり、うっかり話してしまったりするリスクを防ぐために、守秘義務が課されています。


理由③:公務員への信頼を傷つけてはいけないから
公務員は、住民や国民から「公平で信頼できる存在」として見られています。
副業の内容や言動が、その信頼を損なうと判断された場合には、問題視されます。
(国家公務員法第99条、地方公務員法第33条)。
たとえば、特定の政治団体に関わる副業や、社会的に批判を受けやすい活動などは、信用失墜につながるとして認められない場合もあるのです。
理由④:中立性が求められるから
公務員は許認可・補助金・契約・監督など、民間企業や市民の生活に直接影響する仕事を担っています。
そのため、副業先と職務の間に利害関係があると、たとえ実際には何も問題がなくても「えこひいきしているのでは?」と見られてしまいます。


2026年の制度変更で「公務員の副業」は何が変わった?


制限はされているといっても公務員の副業をとりまく環境は、近年大きく動いています。
2025年から2026年にかけての変化を整理しましょう。
【地方公務員】2025年6月・総務省の通知
2025年6月、総務省が各自治体に向けて「地方公務員の兼業に関する技術的助言」を通知しました。
これは、活動の内容に応じて積極的に許可を検討するよう求めるもので、地域課題の解決や職員のスキルアップにつながる活動を後押しする意図があります。
この通知をきっかけに、一部の自治体では許可基準を文章化したり、副業の申請がしやすい環境を整えたりする動きが広がっています。
【国家公務員】2026年4月・人事院「自営兼業制度の見直し」
2025年12月、人事院が国家公務員の自営兼業制度の見直しを発表し、2026年4月1日から施行されました。
今回の見直しの最大のポイントは、新たに2つのカテゴリーが承認対象に加わったことです。
人事院 報道資料(令和7年12月19日)
人事院は、今般、国家公務員の自営兼業制度について、新たに「職員の有する知識・技能をいかした事業」及び「社会貢献に資する事業」を承認可能とするなどの見直しを行いました。新たな制度は、令和8年4月1日から施行します。





新たに認められたカテゴリー①「知識・技能を活かした自営兼業」
趣味や特技を活かして継続的に収益を得る活動が、条件を満たせば承認対象になりました。
具体的には、以下脳ような活動が当てはまります。
- ハンドメイド作品の販売
- スポーツや語学・芸術の教室運営
- Webサイト制作・プログラミング
- セミナー講師・オンライン指導
ただし、該当する活動だからといって絶対に認められるわけではありません。
職務との利害関係がないこと、勤務時間外で完結することなど、別途定められた承認基準を満たす必要があります。
新たに認められたカテゴリー②「社会貢献に資する事業」
収益だけを目的にするのではなく、地域や社会の課題解決につながる活動も新たに承認対象に加わりました。
人事院の資料では、地域振興イベントの主催や高齢者向けの買い物代行などが例として挙げられています。


公務員でも許可が得やすい副業例


公務員の副業は「職種そのもの」ではなく、「公務との関係性」で可能かどうか判断されます。


農業・家業の手伝い
農業や家業の手伝いは、以前から公務員に認められやすい活動として知られています。


ただし、大規模に農業経営を行ったり、家業の中心的な役割を担ったりするようになると、「事業への参加」とみなされ、申請・承認が必要になります。
講師・セミナー登壇
自分の専門知識や経験を活かして、研修講師やセミナー講演を行うことも認められやすい副業のひとつです。
単発で依頼を受けて講演料をもらう程度であれば、許可不要の場合もあります。
ただし、同じ団体から継続して依頼を受けたり、定期的な講座として運営したりする場合は、兼業許可の申請が必要になります。


ハンドメイド作品の販売
2026年4月の制度見直しで、知識・技能型の自営兼業として明示的に例示されたのがハンドメイド作品の販売です。


趣味の延長であっても、継続的に販売して収入を得ているなら「事業」と判断される可能性があります。
販売内容・営業日・収入の見込みをきちんと整理したうえで申請するようにしましょう。
Webサイト制作・プログラミング
IT系のスキルを持つ公務員にとって、Webサイト制作やプログラミングも2026年の見直しで認められやすくなった副業です。
ただし、民間企業から継続的に案件を受託する場合は、国家公務員法第104条の兼業許可に該当する可能性があります。


不動産賃貸・太陽光発電
自分が持っている不動産を貸すことや、太陽光発電による収益を得ることは、一定の範囲内なら申請なしで行えます。
国家公務員の場合、以下の規模を超えると申請・承認が必要になります。
- 独立家屋5棟以上
- アパートなど10室以上
- 駐車場10台以上
- 年間賃貸料収入が一定額以上
この基準以下であれば原則として申請は不要とされていますが、地方公務員は自治体ごとに基準が異なるため、所属先に確認するのがおすすめです。
地域活動・NPO・まちづくり
地域のイベント運営や、NPO法人での活動、まちづくり団体への参加も、条件によっては認められます。
特に2026年の見直し以降は「社会貢献に資する事業」として承認対象になりやすくなりました。
ただし、報酬が発生して継続的に関わる場合や、理事などの役職に就く場合は、事前の申請が必要です。


部活動指導員・スポーツインストラクター
スポーツの経験や資格を活かした活動も、認められやすい副業のひとつです。
学校の部活動指導員として登録したり、地域でスポーツ教室を開いたりするケースがあります。


地域の人材不足を補う活動として評価されやすく、社会的な意義も説明しやすいカテゴリーです。
許可が下りにくい公務員の副業例


一方で、許可が得にくい副業もあります。
「副業の内容がダメ」というよりも、公務との関係性や影響度が問題になることがほとんどです。
職務と利害関係がある企業・団体での副業
自分の職場が許認可・補助金・監査・契約などで関わっている企業や団体での副業は、原則として認められません。





深夜や長時間にわたるアルバイト
コンビニや飲食店でのアルバイト、デリバリーサービスなどは、不許可になりやすいです。
深夜まで勤務が及ぶものや長時間になるものは、「本業への支障」につながるからでしたね。
マルチ商法・ネットワークビジネス
マルチ商法・ネットワークビジネスは、不許可になりやすいです。
勧誘活動を伴うビジネスや、公務員の立場や人脈を利用して広げられる可能性があるものは、信用失墜や中立性の観点から認められません。
高額報酬を伴うコンサルティング
専門知識を活かしたコンサルティング自体はNGではありません。
しかし高額な報酬が発生する場合や、職場と利害関係がある分野でのコンサルは、「公務員の立場を利用した過度な営利」とみなされる可能性があります。
政治・宗教に関わる活動(報酬あり)
政治活動や特定の宗教活動に報酬を得て関わることは、公務員の中立性に反するとして認められません。
公務員の副業許可申請の流れと実務のポイント


公務員として働きながら副業を始めたいと思っても、いきなり行動するはNGです。
正しい手順を踏むことが、トラブルを防ぐうえでとても大切です。


ステップ1:所属先の服務規程を確認する
まずは、自分が所属する機関・自治体の服務規程や兼業許可基準を確認しましょう。


ステップ2:上司・人事担当者に相談する
服務規程を確認したら、次は上司や人事担当者への相談です。
「こういった副業を考えているのですが、許可申請は可能でしょうか」と事前に確認すれば、申請もスムーズに進めやすくなるでしょう。
この段階で「そもそも難しい」とわかれば、内容を見直せます。


ステップ3:兼業許可申請書を作成・提出する
申請書には、以下の内容を記載します。
- 副業の具体的な内容(何をするか、誰を相手にするか)
- 活動する日時・曜日・時間
- 予想される収入
- 副業先との利害関係の有無
- 本業への支障がない理由
申請書の書式は、所属先によって異なります。
正確・具体的に記入し、虚偽の記載は絶対に避けましょう。
ステップ4:審査を受ける
提出後は、所属機関による審査が行われます。


審査期間は機関によって異なるので、余裕をもって申請しましょう。
公務員が副業を成功させるために意識すること5選


実際に、副業を始めてから長続きさせるためのポイントをまとめます。
①本業を最優先に・時間と体調の管理を徹底する
副業は「本業の余力でやる」のが基本です。
本業のパフォーマンスが落ちてしまえば、許可が取り消される可能性もあります。


②確定申告と住民税の扱いに注意する
副業で年間20万円を超える所得が発生した場合は、確定申告が必要です。
※所得は、収入から経費を引いたもの
20万円以下でも、住民税の申告は原則として必要になります。
住民税の金額が本業の給与と合算されて増えることで、職場にバレるケースがあります。
副業の住民税を「普通徴収(自分で納付)」にすることで、職場への通知を避けることができる場合もあるため、税務処理はきちんと確認しておきましょう。
③副業の内容が変わったら再申請を行う
許可を受けた後に、営業日が増えた・収入が大幅に増えた・副業先が変わったなどの変化があった場合は、再度申請・承認が必要になるケースがあります。
2026年4月以降の国家公務員の自営兼業制度では、承認期間は2年以内とされており、変更時には事前の承認が必要と定められています。
出典:人事院規則14-8(営利企業の役員等との兼業)の運用について(令和8年4月1日以降)
④副業で得たスキルを本業に活かす
副業で得たスキルを本業に活かす、という視点や考えを持ちましょう。
- Webライティングで鍛えた文章力が報告書の作成に役立てる
- 地域活動での経験がまちづくりの政策立案に活かす
といったように、副業と本業をつなげる意識を持つと、職場からの理解も得やすくなります。


⑤法律・規則の変化をこまめにチェックする
公務員の副業をめぐるルールは、近年大きく変化しています。
2025年・2026年の通知や制度改正のように、今後もルールが変わる可能性もあるでしょう。
人事担当部署からのお知らせや公式情報を定期的にチェックする習慣をつけるのがおすすめです。
⑥迷ったら「先に相談」を徹底する
「これは申請が必要?」「この内容は問題ある?」と迷ったときは、自己判断せずに人事担当者に確認するのが一番の近道です。


公務員が無許可で副業を続けるとどうなる?


「バレなければ大丈夫」と思って無許可で副業を行うのは、絶対に避けてください。
無許可の副業が発覚した場合、服務規律違反として懲戒処分の対象になります。
処分の内容は状況によって異なりますが、戒告・減給・停職・免職(解雇)にまで及ぶことも。
副業が発覚するキッカケになりやすいものは、以下のとおりです。
- 住民税の金額が増え、職場に通知が届く
- SNSへの投稿から勤務先が特定される
- 同僚や知人への口外
- 副業先との利害関係が調査で明らかになる
特にSNSは、匿名アカウントであっても投稿の内容や過去の発言から特定されることがあります。


公務員の副業に関するよくある質問(FAQ)


最後に、公務員の副業に関するよくある質問を紹介します。
Q. 副業できるのは何時間まで?
全国一律で「〇時間まで」という決まりはありませんが、国家公務員の兼業基準では週8時間以内・月30時間以内・勤務日は1日3時間以内が目安とされています。
地方公務員は自治体ごとに基準が異なるため、所属先に確認することが必要です。
繁忙期や残業が増えた場合は、副業時間を減らすよう求められる可能性もあります。
Q. 副業でいくらまで稼いでいいの?
収入の全国一律の上限額はありません。
ただし、「公務員の立場を利用した過度な営利」と見なされないよう、仕事の内容に見合った報酬かどうかが判断基準になります。
高額な報酬が発生する場合は、特に確認が必要です。
Q. 公務員はYouTubeをやっても大丈夫?
YouTube活動は、内容や規模によって扱いが変わります。
趣味の延長として動画を投稿している程度であれば、すぐに「兼業」とはみなされない場合もあります。
しかし、継続的に収益を得ている場合は、承認・許可が必要な兼業と判断される可能性も。
過激な発信や職務と近いテーマの解説は、公務の信頼を損なうとして問題になるので、配信する内容に注意しましょう。
出典:自営兼業制度の見直しに関するQ&A(人事院職員福祉局)
Q. 不動産投資はできる?
一定規模以下の不動産賃貸であれば、原則として申請なしに行えます。
国家公務員の場合、独立家屋5棟未満・アパートなど10室未満・駐車場10台未満などが目安です。
これを超える規模になる場合は、兼業申請が必要です。
物件の管理を自分で頻繁に行う体制だと、本業への影響が問題になることもあるため、管理会社への委託なども検討しておくとよいでしょう。
Q. 地方公務員と国家公務員でルールは違うの?
基本的な仕組み(許可制・職務専念義務など)は同じですが、細かい基準は異なります。
国家公務員は、人事院規則や内閣人事局の基準が適用されます。
地方公務員は所属する自治体の規程が優先されるため、「国のルールと同じだろう」と思い込まず、必ず自分の自治体の基準を確認しましょう。
まとめ:公務員の副業は「許可制」であることを理解したうえで始めよう
本記事では、公務員の副業について以下の内容を紹介しました。
- 公務員の副業は「全面禁止」ではなく「許可制」
- 制限の背景には、職務専念・守秘義務・信用失墜防止・中立性確保の4つの理由がある
- 2025年の総務省通知・2026年4月の人事院制度見直しにより、許可の範囲が広がっている
- 許可が得やすいのは、公務と利害関係がなく、勤務時間外に完結できる活動
- 申請は「服務規程確認 → 上司相談 → 申請書提出 → 審査」の流れで進める
- 無許可での副業は懲戒処分につながるリスクがある
「副業をやりたいけど、公務員だから…」とあきらめていた方も、まずは所属先の服務規程を確認し、人事担当者に相談してみることから始めてみてください。


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